ランニング上達とはリラックスへと到達する道のりだと書いてみてからふと気づいてしまった。もっと大切なことがあるんじゃないかと。VO2Maxだ、という最速セルフアンサー記事。

速く長く走り続けるにはリラックスできていることが求められる。しかしそれは最終的な結果であって、リラックスしたからといって速く長く走り続けられるわけではない。というのは以前書いた通り。なので最終的にはリラックスして走ることを目指しつつ日々のトレーニングをしていきましょうねということに帰着する。

走ることとリラックスすること

注意点として、このリラックスうんぬんというのはランニングフォーム、所謂ランニングエコノミーに関する話題である。

そして何に気づいてしまったかというと、このリラックスに到達するためのランニングフォームを表現するには、目標とするペースに応じた最低限のVO2Maxが必要なのではないということ。

最大酸素摂取量とマラソンの予想タイムを表にまとめてくれているこんなサイトを発見。

http://hanafusa.info/tennis/Marathon/MarathonEndurance4.htm

確かキロ4分ペースで走り続けるとフルマラソンは2時間50分くらいになったはず。その付近のVO2Maxを表から探すと、65と書かれている。つまりVO2Maxが65もあれば、ジョギング感覚ではないにしても、キロ4分ペースで長時間走り続ける能力があるということになる。

様々な個人差があるのでもちろんこれが絶対の数値ではない。中にはVO2Max60程度でもキロ4分ペースでフルマラソンを走り切れる人もいるだろう。実際に上記サイト下部に掲載されているグラフではそんな雰囲気がある。

とは言うものの。とは言うもののだ。個人差があったとしても、キロ4分ペースで走り続けるためのVO2Maxの下限値が存在するのではないだろうか。絶対的な下限値を考えてしまうと話がややこしくなるので、ある程度の外れ値を切っての下限としておこう。

その下限値に届いていないとどうなるかというと、目標ペースで走り続けられるような身体動作を表現することが困難になる。例え一時的に表現できたとしても、無理をしているので長くは続かない。

逆に下限値をクリアできていれば、身体動作を表現するための条件は整っているということになる。この条件とは、必要条件である。よって下限値をクリアしているからといって、それだけで目標ペースで走り続けられるわけではない。そこで乳酸性作業閾値やランニングエコノミーといった観点が登場してくるわけだ。

と書いたけども、VO2Maxと乳酸性作業閾値にどういう関連があるかはまだよく分かっていないかもしれない。とりあえず今はVO2Maxとランニングエコノミーの関係について考えよう。

つまるところ何が言いたいかというと、目標ペースで長く走り続けるためには、まずはそのペースに対する最低限のVO2Maxまで高めなければならないということ。そしてそこまで高めてようやく、そのペースで走り続けるための身体動作を表現するための必要条件が揃ったことになる。VO2Maxを高めることなくランニングエコノミーの改善で目標ペースを達成しようとするのは順序が逆になってしまう。なぜならいくら理想的なランニングフォームを理解できていても、それを表現し続けることができなければ意味がないからだ。

一説には、フルマラソンのトップ選手レベルではVO2Maxの値よりもランニングエコノミーの方がよりレース結果に与える影響が大きいらしい。おそらくこのレベルまでくると、いくら求められる身体動作を表現するための下地があったとしても、その身体動作が精密かつ高度になりすぎて表現しきれなくなるのではないだろうか。もしかしたら現代の人類が表現できる身体動作の限界に近づいてきてしまっているのかもしれない。

トップ選手の分析は専門家に任せるとして、自分のレベルに話を戻す。キロ4分ペースで10km走ることを目標と考えたとき、手持ちのベストタイムから少なくともキロ当たり24秒は速く走らなければならない。これをランニングフォームの改善だけで達成できるだろうか?素人なりにランニングフォームは日々意識して走っている。速く走ることを目標とするランナーなら、体をどう動かしたらより速く楽に走り続けられるか模索するのは最早日課だろう。

で、達成できるのか?率直な感想として、あまり認めたくないが厳しいんじゃないかと感じている。3キロ走り切れるかも怪しい目標ペースで、その3倍以上の10キロを走ろうというのだ。フォームを改善してエネルギーロスをいくら減らせたとしても、それほどまでの穴を埋めるのは厳しいのではないだろうか。もし埋められたとしても、そこからより高みを目指せるとは思えない。

要するに、今の自分は求められる身体活動の表現力が足りていないのではなく、それを表現するために必要な基礎体力がそもそも足りていないのではないか。

心当たりはなくもない。なぜならまさにVO2Max向上を目的としたトレーニング、インターバルペースによるトレーニングを今まであまりやってこなかったからだ。年始は多少やっていたが、閾値ペースと比べれば頻度は少なめだったし、それ以前はほとんど閾値ペースばかりやっていた。

伸びしろが分かってしまった。本当にそうなのかは分からないが、試してみる価値は十分にある。たとえ違ったとしても無駄になることなど何もない。VO2Maxだけで全てが決まるわけでないとしても、高ければ高いほどいいに決まっている。

インターバルトレーニング、そしてTABATA protocol。字面を見るだけで心肺に負荷がかかりそうなこれらトレーニングこそが、10km40分切りのカギとなるのかもしれない。