一流ランナーと平凡ランナーは何が違うのか。 確かに全てにおいてパフォーマンス水準が違うだろう。

しかしながら、片やキロ4分が心拍限界のインターバルペースであるのに対して、片やキロ4分がジョギングペースだったりするほどの差が生まれるものなのか?

自分はキロ4分が限界の側に属していて、ジョギングペースはせいぜい5分30秒くらいである。4分30秒を切るあたりがTペースで、4分20秒を切るペースで10kmレースを走れるかは怪しい。

つまり4分ペースというのは自分にとって、万事整って臨んだレースであっても2〜3キロしかもたないであろうペースなのである。

一方で別にレースでもなく、人によっては多少のブランクがあったとしても、ジョギング感覚で4分ペースを維持してしまう人類は存在する。

そう彼、彼女らは紛れもなく人類である。生物学的に、間違いなく自分と同じ身体機構を持つ人類なのである。

で、肝心の何がここまでの違いをもたらすのか。過程をすべて省いて結果だけを見るなら、それはリラックスできているか否かだろうというのが個人的な見解。もちろん自分は医学も理学も修めていないしトップアスリートでもない。ただの一般人による個人的な見解。

過程を省いてと書いたのは、速く長く走るためにはリラックスが必要というのは因果の果ての結果であって、リラックスすれば今すぐ速く走れるというわけではないから。そもそも自分と同じ側に属するそれほど速くないランナーは、リラックスしてたら速くなんて走れないのだ。キロ4分ペースまで加速してからそれを維持したままリラックスしようとしても、ペースはみるみる落ちていく。

とはいえ我々が走っているときに全くリラックスができないのかと言うとそうでもない。例えばキロ6分ペースで走っているときは、特にどこかを力むこともなく、難なくペースを維持できる。

ここで気になるのは、我々がキロ6分をリラックスして走っているときと、トップランナーがキロ4分という猛スピードを軽々走っているときの主観的な力の発揮具合に差はあるのかという点。

言い換えるならば、トップランナーにとってキロ4分ペースは意識するほどの筋肉を動員せずとも出せるものなのか、それとも筋肉は動員しているが息が上がるほどの運動ではないだけなのか。

本人に聞いてみるのが速そうだが残念ながらランナー交友が狭すぎて標本がない。そして主観的なものだから正確な情報は得にくいかもしれない。切実に憑依能力が欲しい。

トップランナーに憑依したらその走りを再現できるのかというのはまた気になるところではある。今回の話題にはしないでおこう。

動員していないのか、動員はしているが許容範囲なのか。二者択一というわけでもなく両面の要素はありそうだが、どちらかというと動員していない方が優勢なのではないかというのが持論。

というのも自分自身、かつてはキロ5分ペースが自分の限界だった時期があるからだ。記憶は薄れつつあるが、あの頃の自分にとってキロ5分というのは手足に力を込めて踏み出すことでようやく到達するペースだったはず。

では今の自分とってキロ5分ペースがどんなものかというと、らくらく維持できるとまではいかないが、ハーフマラソンくらいならまぁ余裕を残して走りきれるだろうペースだ。参考までに今のところハーフの自己ベストは4分39秒ペース。

では現在キロ5分ペースで走ったとして、それは過去の自分が精一杯だった力みが苦ではなくなった結果と見なせるのか?全ては主観で語るしかないが、苦ではなくなったというより、そこまで力む必要がなくなったという方がより正しい表現だと感じる。

よって代替的な標本数1の結論として、トップランナーは力みに苦労を感じていないのではなく、そもそも力まずともキロ4分ペースを維持できているのだろうということになる。

そもそも力んでいないということは乳酸もそれほど発生しない。となるとリラックスが関わるのは、ランニングの3要素の中でもランニングエコノミーになるだろう。より効率的な、経済的な走りはリラックスをもたらす。

繰り返しになるがリラックスしたからランニングエコノミーが増すのではなく、ランニングエコノミー向上の行き着く先にリラックスはある。

ならリラックスとか考えずにランニングエコノミー向上に努めればいいのかというとおそらくそう簡単な話でもない。というより、ランニングエコノミー向上とはリラックスの探求そのものなのかもしれない。リラックスの探求もかなり壮大なテーマだからそのうちまとめてみたい。今回はパス。

トップランナーはキロ4分ペースをどのように感じながら走っているのか理解する確実な方法が実は1つだけある。簡単な話だ。自分がその領域の走力を手に入れてしまえばいい。なるほど確実だ。実現できるかという点を除けば。

不可能かの判断は先送りにするとして、まずは5kmを20分切り、これを達成したときにキロ4分ペースが自分にとってどういう感覚になっているを確かめたい。