禁断のTabata protocol
すべては道のりはVO2Maxから始まると思い至ったので早速行動に移す。ダニエルズ教官の理論に沿うならIペースのスピード練習がまさにそのためのトレーニングである。
それはそれで取り組んでいくつもりではあるが、実は前々から気になっていたトレーニングがTabata protocol。タバタ式とかHIITとも呼ばれて最近のフィットネス界隈では結構有名なやつ。ただ有名さの代償なのか色々と尾ひれが付いてしまっていて、脂肪が燃焼するとかダイエットに効くとか特にエビデンスがあるわけでもない部分ばかりがフォーカスされていて検索は非常に辛いことになっている。
Tabata protocolで検索した方が本来のVO2Max向上を目的とした情報がまだヒットしやすいはず。むしろ検索なんかするより田畑先生本人の著作を買った方が早い。おすすめのワークアウト種目も載っているし理論的な説明でなんだか分かった気になってモチベーションも上がるから買うべし。
人類みんなみんな田畑先生の著作を持っているはずなのでTabata protocolの詳細についてはそちらを参照。
タイトルに禁断と付けたのはもちろん訳がある。たった4分で持久力がアップするという最高効率のトレーニングなのに今まで取り組んでいなかったのにももちろん訳がある。たった4分、20秒の全力を8回繰り返すだけというのは、どう考えても最高に辛いことが想像されるのである。
全力といえどもたった20秒でしょという言い分も分からなくもない。全速力で走ったとしても200mも進めない時間だ。体力測定の反復横跳びも確か20秒だったからまさにそれを想像すればよいかもしれない。問題はレスト10秒、そして8セットという部分。まず10秒あったところで息が整うわけがない。数回呼吸するだけですぐに次のセットが始まる。そして次のセットももちろん全力が求められる。まぁ2セット目くらいならまだ余裕もあるだろう。しかし3セット、4セットと続くうちに、きっとすべてを察する。なぜなら400m全力疾走に相当するのがこのあたりだから。しかしここまできてもまだ折り返し。後半はひたすら早く時間が過ぎることを祈り続けることしかできないことは目に見えている。
こんなの辛いに決まっているし、どうせ辛いならまだ走る楽しさを味わえるIペースで頑張るわということで今までは積極的にやってみようという気にはならなかった。ではなぜいきなりやってみようという気になったのかというと、VO2Maxを集中的に強化するならトレーニング頻度が重要になってくるのではと考えたから。
まずTabata protocolでは、持久力を高めるには週3~4回の実施を推奨している。週という単位だとややこしいが、ようするに2日に1回やれということだ。その理由は、Tabata protocolに取り組んでから24時間は身体の何かが持続的な影響を受けているらしい。詳細は先生の著作に書いてあるから今更説明するまでもないので省くとして、重要なのは24時間持続するということ。そして次のトレーニングまでに間を空けすぎると、その効果はどんどん薄れてしまうということ。つまりTabata protocolにおいては、実施頻度も重要な構成要素なのである。
そしておそらく頻度という要素はTabata protocolに限らずVO2Max向上に貢献する高強度のトレーニング全般において重要な位置を占めているのではと想像される。一般人の意見なので特に根拠はない。が、心肺を鍛えることを目的としたトレーニングである以上、そこまで大きく間違ってもいないのではないだろうか。
それではと高強度トレーニングの頻度を増やそうとする。ただし手持ちの高強度メニューはIペース走しかない。Iペース走を週3~4でこなすのはたとえ精神的になんとかなったとしても(なるわけないが)、どう考えても体を壊す確率が高すぎる。まず間違いなく怪我をするか、不調をきたす。トレーニングができなくなる。本末転倒である。要するに高強度トレーニングをランニングというアクティビティに絞って頻度を増やすのはデメリットが多すぎる。トップランナーなら耐えられるのかもしれないが、そこらの市民ランナーには荷が重すぎる。
そんなこんなで怪我のリスクを抑えつつもVO2Maxを刺激でき、さらに時間帯効率が最高のTabata protocolの出番が来た。
前置きはもういいからさっさとTabata protocolやってこいということでさっそくやってきてからのこれを書いている。メニューとしては、バーピージャンプ(濁音のビーではないと最近知った)、90度回転しながらのジャンピングスクワット、マウンテンクライマー、シングルレッグスクワット&フロアタッチの4種を2セットずつ。すべて田畑先生の著作で紹介されているから誰でも知っているということで詳細は略。
ワークアウト自体の感想は、概ね予想通り最高に辛い。特にスクワット系はやばい。とにかくやばい。もう早く終われ以外の感想がでてこない。初めてということで追い込み切れたかは若干怪しいが、それでも終わった後は座り込んで放心しながらハァハァしていた。雨が降って地面は濡れていたがそんなことを考えている余裕なんてない。おそらく高校の部活依頼味わっていなかった、後先考えずにとにかく全力で目の前のボールに飛び込み続ける系練習のそれである。唯一の違いというか救いは、Tabata protocolは終わりが明示されている。さらにこれは根性練ではなく、科学的根拠に基づくアプローチなのである。そのあたりを心の支えにし、早く終われと念じ続けながらひたすら根性で追い込み続ける。なんてものを作り出してくれたんだ田畑先生は。
本当はワークアウト中の心拍数の様子を貼りたかったのだが、Garmin先生の計測がうまくいかなかったのか、大して心拍数が上がっていなかった。数分放心してからのクーリングダウンジョグで最大心拍数の85%とか出ていたからもさすがに全く追い込めていなかったとは思えないので、おそらく計測エラーか何かだろう。稀によくある。それっぽいのが計測できたらまたそのときに。
ワークアウト直後は脹脛がパンプしている感が強く、いわゆる大きな筋肉をうまく使えていなかったのかもと心配したが一夜明けてみたらそんなことはなかった。背中からハムストリングスにかけて大体筋肉痛という有様である。臀部にもかなりきてる。やはり走るだけだと目覚めない筋肉は多いらしい。背中は筋肉痛の範疇だとは思うものの、痛みに左右差があってややアンバランス。下手に腰を丸めてたり変な姿勢でワークアウトに取り組むと痛めてしまうかもしれない。これは毎回注意しよう。腹筋あたりはあまり使わなかったかと思いきや、お昼に最近日課の体幹トレーニングをやってみたら全然そんなことはなかった。アイソメトリックな体幹トレーニングではなかなか到達できない鋭い系筋肉痛である。高強度運動恐ろしや。
週3回を6週間、まずはこれを目標にLet’s Tabata protocol。思った以上に筋肉痛が後を引きそうなのだがこれは大丈夫なんだろうか、予定通りいくなら明日なんだけども。早く寝よう。そして回復させよう。そして6週間、体がどんな反応をしてくれるかを試していく。